2021/12/24 10:10


伝統工芸品とは何なのか?

 

定義は人によって様々に分かれているとは思いますが、今回は私自身の伝統工芸品とは何かということを書いてみたいと思います。

私にとって伝統工芸品は魅力的でちょっと怖い物語です。

 


1、伝統工芸は主に三つの要素に分かれている

 

私が考える伝統工芸を構成する要素は三つ、「作り手」と「技術」、「歴史」である。

まず、「作り手」とは制作者自身が工芸品を作るにあたって、デザインや造形に込められた意図、制作者自身の投影であり、オリジナリティの部分である。

「技術」はその工芸品を作る際に使われる、伝統工芸独特の技法や制作者自身が新たに作り出した技法。

「歴史」は伝統工芸自体の発生から今まで培われてきた歴史であり、その歴史の長さと深さが伝統工芸品の伝統の部分である。

 

これらの3要素が組み合わさって伝統工芸品を構成している。

作り手×技術×歴史=伝統工芸品と定義する。



2、物語の重要性


「技術」は当然大事であるが、「作り手」と「歴史」は伝統工芸にモノとしての価値だけでなく、コトの価値も付与している。

コトの価値とは物語性のことである。

モノを制作することは一つの表現であり、多かれ少なかれ、作り手自身を表している。

それは作り手自身の持つ物語性でもある。

歴史は伝統工芸品の主に「伝統」の部分を構成し、そこには歴史となった作り手や技術が含まれている。

その歴史の長さや濃さが伝統工芸品ならではの物語性を添えてくれる。

伝統工芸を3つの要素に分けてみると、3分の2が物語性というコトの価値であり、相当な割合であることがわかる。


 


3、あなたの伝統工芸品

 

工芸品は3つの要素に分かれているが、最後に使用者がいなければならない。

アート作品にも言えることであるが、作品それ自体だけでは完成とならず、

最後に鑑賞する人がそこから何を解釈するかも含めてその作品である。

つまり、作品と鑑賞者の相互コミュニケーションが必要となる。

 

伝統工芸品を使用・鑑賞することは、3つの要素と使用者のコミュニケーションであると言える。

使用者自身の考えや価値観がその工芸品への解釈として反映されることで、

それは「あなたの伝統工芸品」となり、「あなた自身の物語」がそこに加えられる。

 

最後に

 

伝統工芸品は長編の物語のようだと思います。

それを通して技・歴史・人、そして自身もそこに新しい物語として書き加えられる。

新しい世代に伝えられたり、新しい出会いを生み出したりする。

それらを呑み込んでモノとしてある、畏怖すら覚えます。

私にとって伝統工芸品はそういうモノです。

 

最後まで読んでいただきありがとうございます。

もし、少しでも共感して頂けるのなら、それはとても嬉しいです。

お客さんになってくださったらもっと喜びます(笑)。

 

駄文失礼いたしました。