2022/02/03 13:24


↑薬師寺東塔基壇の粘土で作った焼物。

実際に特別な土が使われていると聞くとありがたい気がします。

 

 

1、赤膚焼とは

 

 

赤膚焼は奈良県の伝統工芸品の一つで遠州七窯としても有名。

(遠州七窯の名前の由来の小堀遠州は大名茶人として有名で、徳川将軍家の茶道指南役を勤めた)

江戸時代の後期の頃に大和郡山藩主・柳沢保光の保護を受け、京都から呼び寄せられた

陶工・丸屋治兵衛が、保光から赤膚焼の名前をもらったことが始まりと言われている。

一般的な特徴は、陶土に含まれた鉄分が発色し、暖かな赤色が表れることや伝統的な奈良絵モチーフの絵付けである。

奈良絵文様は赤膚焼の名前を広く世に広めた名工・奥田木白が始めたもので、比較的新しい特徴とのことである。

 

 

 

2、赤膚焼窯元尾西楽斎を訪ねてみて

 

 

JR大和郡山駅から徒歩一分のすぐ近くに工房があり、買い物も勿論できます。

対応してくれたのは尾西楽斎さん本人で、話しやすい方で、

あまりコミュニケーションの得意でない私ですが、

とても楽しい時間を過ごせました。


その時に色々質問をする機会があり、勉強になりました。

上で書いていますが、赤膚焼の一般的な特徴は、その奈良の土と奈良絵が挙げられます。

一般的な赤膚焼の土は焼成すると赤味を帯び、それをベースに奈良絵の装飾がつきます。

しかし、店内並んでいる陶磁器は奈良絵文様もありましたが、一般的な特徴とは違う多種多様な技法が使われていました。

これは奥田木白が「諸国焼物写し所」として看板を出したことから始まっており(このエピソードを聞くだけでも奥田木白は

相当面白い人物であったのだろうと思います)、写しを得意としていたことからきているそうです。

ですので、実は赤膚焼には技法に「これが」という特徴はないとのことです。


尾西楽斎さんの作品にもいわゆる赤膚焼っぽくない技法や特徴がありました。

無釉焼き締めの花器、俵型の急須や茶碗、赤松の薪で叩いて文様を付けた湯呑などがあり、釉薬も多彩な色合いで、

そこだけを見ると、「一体どこの窯元に来たのだろう?」と思ってしまうほどでした。


薬師寺東塔の基壇に使われていた粘土、

(修理時に大量に取った土で、薬師寺が国からの許可は取っているので大丈夫とのこと)から

作られた焼物も店内に並んでいました。

薬師寺東塔は平城京最古の建造物で、今まで多くの災害などに耐えて残っている縁起の

良い建物です。こういう物を見ていると何か不思議でありがたい気分になります。

 


最後に

 

尾西楽斎さんに「得意な焼物はありますか?」と聞いてみたところ、花器が比較的得意であるということです。

ただ、最近は華道人口が減少しているので、もっと華道をする人が増えてほしいともおっしゃっていました。

日本には和の伝統文化・工芸が多くあります、それは大事にしたいですね。

尾西楽斎さん曰く、「失ってしまうのはもったいない」とのことです。

私もそう思います。

 

読んでいただいてありがとうございました、もしこれを切っ掛けに赤膚焼に興味を持っていただければ幸いです。